
iMac2020のSidecarでiPadはペンタブレット代わりに使えるか?

iMac、MacBookシリーズのSidecarを使うとiPadでどのようなことができるのでしょうか?
また、Sidecarが使用できるMacシリーズ、iPadシリーズにはどのようなものがあるか教えてほしい。
こんなお悩みを解決します。
本記事の内容
この記事の要約
- Sidecarを使用すれば、iPadをペンタブレット代わりに使用することはできる。
- Sidecarを使用してiPadディスプレイ上の操作を行うことは原則としてできない。
- Apple PencilがあればSidecarを使用してiPadディスプレイ上の操作を行うことができる。
- Sidecar解像度が悪く、不具合も多いものの、細かい点に目をつぶればそこそこ利用することができる。
本記事の信頼性
こんにちは。このブログ管理人nori( @noriakiasoblog )です。
この記事の信頼性は、次の事項により担保されています。
今回使用するSidecarを購入したiMac2020と所有しているiPad Air3(2019)を使って体験したことをブログ記事にしていること。

それでは、購入したiMac2020とiPadでSidecarの機能を色々体験した結果を解説していくこととします。
これからペンタブレットまたはiPadを購入するか悩んでいる方は、Sidecarを実際に利用してみた体験談を参考にしてみてください。
目 次
Mac画面をiPadを通じてミラーリングできるSidecarとは
そもそもSidecarとはどのようなものなのか全く知らない方に簡単に解説していきます。
まず、Sidecarで何ができるのかといえば、Macシリーズの機能Sidecarを使うとMacデスクトップ画面をiPadに拡張して利用することができます。
Sidecarを利用してiPadが2台目のサブディスプレイに
MacシリーズのSidecarを使えば、Macデスクトップ画面をiPadにミラーリングしてiPadを2台目のサブディスプレイとして利用することができます。
あくまでSidecarはMac画面をiPadにミラーリングして2代目のサブディスプレイとして使用することができますが、iPad画面をiMac2020で使用することはできません。
iPadをペンタブレットとして使用するのであれば、iPadのデザインアプリを使用してiMac2020の大きい画面で使用するということを試してみましたが、できませんでした。
そのような意味では、Mac⇒iPadへの一方通行の情報をiPadで利用することができます。
iPadをペンタブレット代わりに使う方法については、後ほど解説していきます。
Sidecarを利用してiPadを2台目のサブディスプレイとするメリット
・iPad8-13インチディプレイ分の作業領域が広がる。
Retina 5Kディスプレイ27インチiMac2020最上位(3.8GHz)モデルを利用している場合であれば、iPadのような小さい画面を2台目のサブディスプレイとしても、あまりメリットはないようにも思えます。
しかし、ウィンドウを複数使っていると、前面と背面に表示されてしまうウィンドウに別れてしまうことはよくあることです。
すべてのウィンドウを作業を行いながら表示させることは不可能です。
そうした場合に、Macの2台目のサブディスプレイとしてのiPadがあれば、常に観察しておきたい画面をMacデスクトップ画面とは別にiPad上でチェックすることができるようになります。
しかしながら、SidecarをすべてのMacシリーズ、iPadシリーズで使用することができるわけではありませんので注意する必要があります。
Sidecarを利用することができるシステムMac,iPad要件
対応種別 | 対応機種 |
対応MacOS | macOS Catalina |
Macシリーズ | MacBook Pro2016-,MacBook2016-,MacBookAir2018-,iMac(2017-,27inch-iMac Late2015),iMacPro,Mac mini2018-,Mac Pro2019- |
対応iPadOS | iPadOS 13 |
iPadシリーズ | iPad Pro,iPad6-,iPad mini5-,iPad Air3- |
Sidecarを使うに当たって、MacおよびiPad両方のWi-FiとBluetoothが有効となっていないといけません。
SidecarでMacディスプレイをiPadにミラーリングする
それでは、先日購入したRetina 5Kディスプレイ27インチiMac2020最上位(3.8GHz)モデルをと手元にあるiPad Air3(2019)を使用してiPad Air3(2019)をiMac2020の2台目サブディスプレイとして利用してみましょう。
Sidecarを使ってiPadを2台目サブディスプレイとするには、MacとiPadの接続方法には、有線か無線かの2つの方法があります。
【無線】Sidecarを無線接続(Mac-iPad)で使用
Mac,iPadの両デバイスについて次のとおり設定を行います。
(1)2ファクタ認証を使った同一AppleIDでiCloudにサインインします。
(2)両デバイス間を10メートル以内に近づけます。
(3)Bluetooth、Wi-Fi、Handoffを有効にする。
①Mac-Handoffをオンにする:システム環境設定>一般>「このMacとiCloudデバイス間でHandoffを許可」をチェックする。
②iPad-Handoffをオンにする:設定>一般>AirPlayとHandoff>Handoffをオンにする。
・無線で接続した場合は、バッテリー消耗が激しいので、できれば有線接続したほうが良いです。その他の不具合もあります。詳しくは別途解説します。
【有線】Sidecarを有線接続(Mac-iPad)で使用
Sidecarを有線接続する場合は、MacとiPadを次のように接続を行います。
・Mac-iPadの間をUSB−Lightningケーブルで接続します(iPad Proの場合はUSB-USBCケーブル)。
・USBケーブルで接続した場合、iPadに「Macを信頼する」に設定するようにします。
Sidecarを使用してMacディスプレイをiPadにミラーリングする
それでは、実際にSidecarを使用してMacディスプレイをiPadにミラーリングしてみます。
Macでなんでも良いのでアプリなどを開き、ウィンドウ左上の緑色ボタンを長押しします。

iMac2020のウィンドウ左上の緑色ボタンを長押しすると「iPadに移動」と表示されるのでクリック
ウィンドウ左上の緑色ボタンを長押ししてから「iPadに移動」をクリックします。

【iPad画面】iPadに移動をクリックするとMacディスプレイがiPadにミラーリングされます。
「iPadに移動」をクリックすると、上の画像のとおりiPad画面内に先ほどまで使用していたMacディスプレイがミラーリングされて表示されます。
Sidecarの設定
Sidecarを使用する際に表示される項目の設定などを行うことができます。

システム環境設定>Sidecar
システム環境設定からSidecarの設定を行うことができます。

システム環境設定>Sidecar設定
Sidecarの設定では、この画像にあるとおりiPad画面左側にあるのが「サイドバー」で、下側にあるのが「Touch Bar」になります。
Sidecar設定で、これらのサイドバー、Touch Barの位置やそれらの非表示設定を行うことができます。
iPad画面左側にある「サイドバー」は、下から「接続解除」、「キーボード」、「戻る」、「SHIFT、「CONTROL」、「OPTION」、「COMMAND」キーとなります。
左上上部にあるのは、上矢印マークは、iPadにDock表示をするかどうかを切り替えます。
左上最上部にあるのは、iPad画面でのメニューバーの表示/非表示の切り替えができるようになります。
ボクが購入したRetina 5Kディスプレイ27インチiMac2020最上位(3.8GHz)モデルは、「Touch Bar」非搭載ですので、Touch Barは関係ないので非表示にしても構いません。
また、Sidecar設定にある「Apple Pencilでダブルタップを有効にする」とありますが、ボクが使用しているのは、Apple Pencil第二世代ではないことから、これもチェックを外してしまってかまいません。
SidecarでiPadをMacのペンタブレットとして利用する
SidecarによるiPadへのミラーリング機能を使用してiPadをペンタブレットとして利用することはできるのでしょうか。
おそらく、ペンタブレット単体を使用するよりも「おもちゃ程度」としての利用しかできないというのが現実ですが、ペンタブレットとして利用していきます。
SidecarでiPad画面を操作することはできない

Sidecarを使ったMac画面のiPadミラーリング仕組み
この画像を閲覧していただければわかるかと思いますが、Sidecarは、Macでの操作結果がiPadに反映されるということになります。
したがいまして、iPad画面を自分の指で絵を描いたり動かしたりすることはできません。
あくまでiPadからMacへ送られる信号によってMacの映像がiPadで表示されるにすぎないのです。
よってSidecarであるので、iPadとMac双方向でやりとりができないということは留意する必要があります。
例外としてSidecarでiPad画面上にApple Pencilなどを使用した操作はできる
Sidecar使用時であっても、2本指や3本指を使った「スクロール」「コピー・ペースト」「取り消し」などの超基本的な操作を行うことはできますが、iPadディスプレイ上に表示されているウィンドウを動かしたり、直接リンクをクリックするなどの操作を行うことはできません。
例外としてApple Pencilを使う場合は、絵や文字をSidecarを使ってiPad画面上に描くことができます。
よって、iPadをペンタブレットの代わりとしてSidecarを通じて利用する場合は、Apple Pencilが必須となります。
Mac AppStoreなどで描画アプリをダウンロードする
Sidecarを通じてiPadをペンタブレットとして利用したいということであれば、描画アプリについてiPad側ではなくMac側のアプリをインストールしておく必要があります。
何度も言うとおり、Sidecar使用時は、iPadディスプレイを操作することはできません。
よってMac側に描画アプリをインストールしておく必要があります。
Macの描画アプリをインストールしたらSidecarを通じてiPadディスプレイとミラーリングを行います。
Sidecarを使用してiPadをペンタブレットとして使用する
これまで解説してきたように描画アプリを起動してウィンドウ左上の緑色ボタンを長押しクリックして「iPadに移動」クリックすれば、Sidecarを通じてiPadディスプレイにMacディスプレイがミラーリングされて表示されます。
下の画面のようにして、Apple Pencilを使用すれば、iPadとiMac2020が連携してペンタブを使っているかのように画面が動きます。

iMac2020SidecarでiPadはペンタブ代わりに使えるか?
何度も申し上げますが、Apple Pencilを使用しているときでしか、Sidecarを通じたiPadの操作を行うことはできません。
Sidecarを通じたiPadをペンタブレットとして利用した遅延問題
Sidecarを通じたiPadをペンタブレットとして使用した場合の描画するスピードの問題があります。
レイテンシ、遅延といいます。
Apple PencilをiPadディスプレイ上に走らせるスピードとiMac2020ディスプレイ上に表示されるスピードの食い違いが大きいほど「違和感」を覚えます。
ボク自身は、美術系ではなく、絵を描くことができないことから、遅延をほとんど感じることはありませんでした。
感覚的には、筆を走らせるスピードとRetina 5Kディスプレイ27インチiMac2020最上位(3.8GHz)モデルの画面上に描かれるスピードの誤差は、0.01秒ぐらいではないでしょうか。
素人目からみえれば、ほとんど違和感を覚えることはありませんが、ペンタブレットと比べると反応速度は、合格点とはいえないと思います。
SidecarでiPadをMacの2台目サブディスプレイとして利用する
これまでは、SidecarでMacディスプレイをiPadにミラーリングする機能を使用してきました。
ミラーリングというのは、MacディスプレイとiPadディスプレイ両方が同じ映像が表示されることをいいます。
同じ画像を別のデバイスで表示させるメリットは後に解説するペンタブとして使用するときしかないので、iPadを2台目のサブディスプレイとして使用する場合は、こちらの方法を用いた方が良いです。

システム環境設定>ディスプレイを選択
1)システム環境設定から「ディスプレイ」を選択します。

システム環境設定>ディスプレイ>Sidecar
2)システム環境設定>ディスプレイから、画面下にある「AirPlayディスプレイ」の欄を「オフ」から「iPad」に変更します。

システム環境設定>ディスプレイ>解像度の設定>内蔵Retinaディスプレイへ
3)解像度の設定を「Sidecarディスプレイ」から「内臓Retina」ディスプレイにすると引きの画像となります。

システム環境設定>ディスプレイ>配置>ディスプレイをミラーリングチェックを外したら
4)システム環境設定>ディスプレイ>配置の中にある「ディスプレイをミラーリング」チェックマークを外すと、ミラーリングではなく、iPadに表示される画面とMacに表示される画面が別となります。

デスクトップ2でSidecarを実施する
5)この状態で、上の画像のとおりMacディスプレイ上で適当なアプリを立ち上げたら、ウィンドウを画面右側へウィンドウを放り出します。

【iPad画面】Macデスクトップ上にあったウィンドウがiPadに移動します。
6)すると、Macデスクトップ上にあったウィンドウがiPad画面に移動します。Sidecarを利用してiPadを完全な2台目サブディスプレイとした事例となります。
Sidecarが使えないと感じる残念な部分、不具合
これまで行った解説のとおり、SidecarでiPadがペンタブレットとして利用できたり、iPadを2台目のサブディスプレイとして使用することができたり、良いことづくしではありました。
しかし、これまで触れていなかった残念な部分、不具合がありますので、注意して使用された方が良いと思います。
Sidecarを無線ワイヤレス接続で使用するとWi-Fi速度が半減する
Sidecarを無線ワイヤレス接続だけで使用した場合、Wi-Fiネットワーク速度が半減します。
この不具合の理由は定かではなりませんが、Sidecarを使用する場合、MacとiPad両方においてBluetoothとWi-Fi電波を使用するようです。
その際、Wi-Fi電波の領域をSidecarが一定程度使用するなのかはわかりません。
![]() iMacとiPadをUSB−Lightningケーブルで有線接続してSidecar実施時のWi-Fi | ![]() 無線でSidecarを使ってiPadと接続している場合 |
上の画像をご覧ください。
左側がボクが使用しているRetina 5Kディスプレイ27インチiMac2020最上位(3.8GHz)モデルとiPad Air3(2019)をUSB-Lightningケーブルで接続してSidecar使用している場合のWi-Fiネットワーク速度です。
右側が、iMac2020とiPadAir3を無線ワイヤレス接続してSidecarを使用した場合のWi-Fiネットワーク速度となります。
Sidecar使用時の接続方法 | DOWN(Mbs) | UP(Mps) |
有線接続(USBケーブル)(左側) | 291 | 391 |
無線ワイヤレス接続のみ(右側) | 127 | 167 |
Wi-Fiネットワーク速度が無線ワイヤレス接続した場合には、通常の半分以下になっていることがわかります。
Sidecar使用中はBluetoothキーボード、マウスの調子が悪い
これは、実際にRetina 5Kディスプレイ27インチiMac2020最上位(3.8GHz)モデルをキーボードやマウスで使用している場合にしか体験できないことなのであくまで主観となってしまいますが、現在使用しているMagic KeybordとMX Master3マウスの接続不良となり、とぎれとぎれとなってしまいます。
そのため、マウス操作がSidecar使用時は、普段よりも動作不良となることが多いと感じます。
これは、有線接続と無線接続両方ともにいえることです。
Sidecarで表示される解像度(1048×770)粗すぎる
現在使用しているMacがRetina 5Kディスプレイ27インチiMac2020最上位(3.8GHz)モデルであり、解像度は5120×2880となります。
またiPad Air3(2019)も解像度は、2224×1668であることからSidecar解像度1080×770は非常に粗すぎるといわざるをえません。
初代iPadに時代がさかのぼってしまったのかと勘違いするほどの解像度です。
解像度だけでいえば、Retina 5Kディスプレイ27インチiMac2020最上位(3.8GHz)モデルの解像度の20%程度、iPadAir3(2019)解像度の半分です。
明らかにRetinaではないため、解像度があらすぎて、残念ながらみれたものではありません。
Sidecarで表示される画面半分が動かない謎の不具合
これも謎の不具合なのですが、Sidecarを使用している間は、iPadおよびiMac2020の画面半分までしかカーソルを動かせないという不具合が発生しています。

Sidecarディスプレイの不具合(画面右3分の1以上操作できない)
この動作不能不具合も、メモリ増設の際のメモリクロック誤表示問題のようになんらかの不具合なのか、ボク自身の設定不足なのかは不明です。
【結論】Sidecarはメインでなくオプションとして位置づけ
Sidecarは正直、問題は非常に多いです。
不具合も多いです。
残念なところも多いです。
ただし、Appleシリコンを搭載した新型Macとなれば、iPhone、iPadおよびMacとの双方向共有も今以上に加速するのではないかと感じました。
現在のSidecarは、新型Macまでのつなぎの要素が強いのではないでしょうか。
不具合や取り扱いづらいところがいなめないSidecarではありますが、使おうとすれば使えなくもありません。
過度な期待をしなければ、SidecarはiPadを2台目のサブディスプレイとして取り扱うことができるなどのメリットは多いです。
ですので、不具合の多いSidecarというイメージで使用してみると、「あれ、意外と使える」という印象を持つことができるかと思います。
不具合は見つけようとすればいくらでもみつかってしまうものです。
許容できるところは許容して、使えるところはしっかりと使わないとせっかくある機能がもったいないです。
今後ボクは、システムモニタやリアルタイムでモニターしていくものがあれば、そのディスプレイとしてSidecarを使ってiPadを2台目サブディスプレイとして使用していきたいと思っています。
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